麻酔関連書籍

※書籍についてお勧めや問題点など、ご意見のある方はコメント欄に頂けたらと思います。

研修医向け基本テキスト

麻酔科の研修医なら必ず持っていてほしい一冊です。
 ポケットサイズで持ち歩きやすく、各種の基本項目が広く浅く網羅的に記載されています。頭から読んでもいいですが、必要な時に辞書のように用いるのが本来のコンセプトだと思います。

麻酔科ローテートの予習にピッタリな問題集です。
 麻酔をかけるにあたって、初めに教えられるような内容について問題形式で書いてあります。麻酔科研修で教えられる要点が押さえられているため、ローテート前にこの一冊を解いておくと「よく勉強している研修医」として上級医の信頼を得られると思います。また、ローテート中も一歩踏み込んだ学習ができるようになるでしょう。

手術の流れと麻酔の注意点が書かれた本です。
麻酔科研修医の必帯の書であると同時に外科のポリクリやローテーターの助けにもなる一冊です。
術野を見てあとどれくらい手術が続くのかを確認することは麻酔計画を立てる上でも重要になることが多いですので、是非一冊持っておくことをお勧めします。

麻酔に関する雑学をうまくまとめている書籍です。
前投薬の必要性、麻酔器材の意味、麻酔科で行う管理の意味、一般的に言われている内容の是非など様々な内容について短い雑学が短文でまとめられていて非常に読みやすいです。
必須な知識を身に付けるものではありませんが、より深く麻酔を理解するには良い本だと思います。

麻酔の基本手技を解説した本です。
 ルート確保、脊椎麻酔、硬膜外麻酔など、麻酔の基本手技について記載してあります。
基本手技の上達に悩んでいる時には非常に使いやすい本ですし、さらなる上達のためにも参考になる本です。初学者やスランプで悩んでいる場合には一助になることでしょう。

言うなれば麻酔科研修チェックノートの巨大版です。
いつでも持ち歩くには厳しい本ですが、内容が詳細かつ具体的であり、病態からガイドライン、各麻酔法における注意点などが事細かに記載されています。書籍自体はレジデント向けですが、分量がありかなり深い内容まで踏み込んでいるため、経験の浅い麻酔科医にも十分通用しそうな内容となっています。

輸液の基本をわかりやすく書いた本です
出血量の3倍輸液をするのは本当に正しいのか、サードスペースとはそもそも何なのかなど、知っているようで知らない輸液の常識が記載されている本です。この一冊を読めば輸液に関する考え方が大きく変わることでしょう。
麻酔科医志望だけでなく、外科志望の研修医にも読んでおいてほしい一冊です。

問題集

医師国家試験対応の麻酔科問題集です。
基本項目ばかりですが、普段使いなれない麻酔法も数多く記載されており、基本を一通り問題形式で再確認するにはいい問題集です。

 麻酔に関して包括的な知識を確認することができる問題集です。
薄めの本ですが、術前評価から麻酔法、特殊な状況での麻酔なども含めて、一通りの分野について問題が作られています。
最新が1994年と古いのが難点でしょうか。

麻酔科医の専門医認定筆記試験の過去問を収載したものです。
専門医試験を受けられる方には必須と言っても良いでしょうが、受験生以外でも知識の確認をするにもいいテキストです。
ただし、やや値段が張るのが欠点でしょうか。

今や専門医口頭試験対策の定番です。
目的は専門医試験の対策書ですが、各領域の麻酔について口頭試験に寄り添い、丁寧に解説してあります。認定医になったくらいから読み始めて勉強をしていても全然良いと思います。リンク先から作者に直接メールを送って購入できます。

専門医口頭試験対策で最も有名な市販本。
専門医試験における口頭試験についてエッセンスを押さえて解説をしています。最低限勉強をしたい場合にはこちらでもよいかもしれません。


総合参考書

麻酔科のバイブルとも言える本です。
各分野について詳細に記載されており、麻酔の道を究めるには必須ともいえる書籍です。

合併症のある症例への対策や、術中の問題点について事細かに記載してあります。
患者が見慣れない合併症を持っていた場合に備えて、研修医でも一冊持っていると安心かもしれません。

普段は見られないような稀な疾患の麻酔法を収載したものです。
実際にはあまり使用することはありませんが、いざ稀な症例に遭遇した場合にはかなり役立ちます。
一冊持っていると安心感が違いますので手元に置いておいてもいいでしょう。ただ、稀な疾患で症例数も少ない物をターゲットとしているため、100%信用はできないという印象はあります。

合併症のある患者の麻酔について理論を中心に記載している書籍です。
合併症患者の麻酔スタンダードの改訂版です。前作と同様に、辞書のように使用できる丁寧な説明が特徴です。基本的な理屈をきちんと理解した上で麻酔をかけたい方にお勧めです。

手術麻酔分野別参考書

心臓麻酔

ポケットサイズの心臓麻酔マニュアルです。
心臓麻酔に慣れない人向けで、広く浅い情報が詰め込まれています。基本概念だけではなく各論についても述べられています。

心臓麻酔についてQ&A形式でまとめたものです。
Q&A形式なので初学者にも比較的読みやすく、基本的な項目からやや突っ込んだ内容まで比較的広く網羅されています。
ただし、体系だっていない分情報のまとまり方がやや雑多なため、辞書として用いるというよりは雑誌のように頭から読み込むような方法に向いている印象です。

心臓麻酔を本格的にやる人の定番書籍です。
副題は「-A.M.C.心臓手術と麻酔の手引-」です。
比較的小さ目の書籍ですが、症例ごとの麻酔法の違いがより詳細にまとめられており、心臓麻酔にある程度慣れてより深く学びたい方にお勧めしたい本です。

初心者向け小児心臓麻酔マニュアルです。
この本は参考書というより、本当に「マニュアル」です。小児心臓麻酔について非常に具体的に記載されており、流れが非常によくわかります。初学者や何を勉強していいかわからない方などには非常にお勧めです。ただし、エビデンスは記載してあるものの一部項目で著者の考えや好みが強く反映されており、こだわりのある麻酔法がある方には違和感があるかもしれません。他人の麻酔法から何かを学び取りたいという方にも、この本は良い一助となると思います。

外科の教科書ですが、循環動態への理解が深まります
この本は小児心臓血管外科の教科書の一種ですが、手術内容や循環の変化などについて非常に詳細に記載されており、循環異常の機序やその対処法を考える一助となり、麻酔でも非常に参考になる本だと思います。ただし、当然のことながら麻酔の三要素や、小児心臓麻酔特有のメチルプレドニゾロンの投与など、基本的な麻酔については書かれていません。あくまで小児心臓麻酔のステップアップをしたい人向けでしょう。

小児麻酔

小児麻酔について基本項目をまとめたものです。
ポケットサイズで持ち歩くことができるのが特徴で、小児麻酔の基本項目について広く浅く記載されており初心者でも使いやすくなっています。

周術期管理

術後鎮痛管理について網羅的に述べた書籍です。
周術期管理で最も麻酔科を悩ませるのは痛みだと思います。
この本は痛みの原理から鎮痛薬の特徴の各論、術後痛を起こしにくくするためのスキルや雑学まで、術後痛に関することを総合的に記載したものです。初学者にはもちろん、ある程度慣れた麻酔科医でも新しい発見が数多くあることと思います。

技術書

硬膜外麻酔・神経ブロック

滝野善夫氏による硬膜外麻酔の指南書です。
傍正中法変法という滝野氏独自の硬膜外麻酔法について解説してありますが、この本を読むと正中法や傍正中法についてもイメージを掴みやすくなります。定価7000円程度ですが、どのサイトでも売り切れが続出しており、高額となっています。

硬膜外麻酔について最も詳細に記載されている書籍です。
これ一冊でほとんどの疑問を解決するだけの分量がありますが、それなりの費用がしますので研修医などが勉強のために買うのはややハードルが高い印象です。

最も臨床に即した神経ブロックの指南書です。
神経ブロックに関する内容で必要な情報が過不足なく書かれており、無駄な情報が少ないのが特徴です。なので、すぐに知識を確認したい場合やハンドブック的な使用をしたい場合にお勧めします(サイズがあるのでポケットには入りませんが)。
また。このサイトにリンクした神経ブロックの動画がYoutubeに多数上げられており、購入しなくても神経ブロックの勉強をする人のために役立っています。その動画はこのサイトの神経ブロック動画にも多数採用されています。

神経ブロックに関してもっとも詳細に説明した書籍です
各神経ブロック法の各論だけでなく、神経ブロックに関する局所麻酔の情報や、エコーの扱い方など、神経ブロックに関する情報が詰め込まれています。神経ブロックに関する知識を深め、じっくりと学んでいくような使い方でもいいですし、いざという時の辞書として持っておくのもいいと思います。

経食道心エコー

経食道心エコーの問題集として最もメジャーなものです。
この本と全く同じ問題がJB-POTに出題されることもあります。テキストに収載されているのは筆記問題ばかりですがエコーの基本原理などについて特に詳しく記載されています。基礎に自信がない人が基礎力を付けるためにも非常に向いているテキストです。ただし、試験本番ではこの本より深い内容が要求されることも多く、これだけでは弱いかもしれません。

JB-POT対策としては最も使いやすいテキストだと思います。
5章の構成ですが、各章が独立しており大学受験時代の過去問を解く感じで演習することができるため、章を進むごとに実力の上昇を実感できるのが特徴です。基礎知識の確認や計算問題の確認、試験形式に慣れるという意味では非常に良いですが、網羅的とは言い難く、他のテキストで実力を養う必要もあるかと思います。

豊富な症例数と動画、解説の細かさが魅力な一冊です。
Perioperative Transesophageal Echocardiographyの訳本です。100を超える症例数とそれぞれに対応する動画と問題、解説の細かさは他の問題集より優れています。
基本から応用まで広く網羅されており、動画から臨床の実践的な問題を学ぶにはよいでしょう。心臓麻酔に不慣れな麻酔科医にとっても一般臨床でも役に立つ動画が非常に多いです。
ただ、動画を見るためには購入書籍に記載されたコードを入力しないといけないこと、わざわざonline.vitalsourceに登録しないといけないこと、動画が1拍だけなので非常に見辛いこと、といった問題点はあります。特にスマホでは画面真ん中に再生ボタンが出ることがあり、その場合は非常に見辛くなります。
PCでは再生ボタンを連打すればそれなりに見れますが(断続的で少しわかりにくいですが)、スマホで見る場合は再生画面右下の三点リードをクリックしたらダウンロードできますので、それを連続再生機能付きのプレーヤーで再生するようにすると良いでしょう。


JB-POT対策の教科書として最もメジャーなものです。
巻末に問題がついていますので、基礎知識を得て演習をするには良いですが、500ページとやや分厚く初学者にはややハードルが高いかもしれません。ただ、その分実戦的な知識も多く、ある程度慣れた人がさらに実力を伸ばすためには優れたテキストです。JB-POTに確実に合格するにはこのテキストレベルの内容を十分理解している必要があります。

TEEの実践的な使い方を学ぶ書籍です
著者は心臓血管外科を専門としている外科医であり、実際の症例に基づき、CT画像、TEE画像、さらには手術ビデオまで含め総合的な判断を記載している珍しい書籍です。
動画に占めるTEEの割合は他の書籍より低いためJB-POT対策としては効率が悪く、そもそもが外科医向けに記載されており、麻酔管理については浅いですが、心臓麻酔を専門としている人には参考になる書籍なのではないかと思います。また、TEEの画像も実践的であるため、ある程度使用に慣れた人が動画を参考にする分には良いと思います。

動画とTEEシミュレーションソフトが付いているレアな書籍です。
ただし、動画には十分な説明がなく(それでもほとんどの動画DVDよりは丁寧)、TEEシミュレーションソフトも静止画であり、あくまで開発中と言う印象です(本にもそう書いてある)。内容自体は詳細で通常のTEEの参考書と比べても劣りません。

TEEのビデオ問題集を探す場合にまず検索でヒットするのがこれです。
問題が多数収載されていますが、DVDからテーマを選択する形式なので、初めから見当がついてしまい、やや使いにくいことと、画質が低いこと、解説が不親切な上に解答の間違いが多いことから間違いを間違いと断定できる自信がなければ逆に惑わされてしまうかもしれません。

超音波装置の原理について基本的なことをわかりやすく解説しています。
厳密にはTEEの本ではありませんが、超音波の原理について物理学的な視点からアプローチしてくれるため、論理の筋が通っており、すっきりと理解できると思います。JB-POTのための基礎知識を入れるには非常に使いやすいテキストです。

経食道心エコーの内基本的な内容を収載したテキストです。
プローブの挿入方法から基本的な評価方法、各種手術で描出すべき像などが記載されています。
JB-POTの試験用と言うよりは心臓麻酔におけるTEEの扱い方といったところがメインになってきており、非常に実践的です。

経食道心エコーの準備などの項目は大幅に省略されていますが、実戦で使用できる経食道心エコーの像などについてはこちらの方が圧倒的に詳しいです。
初学者よりはある程度慣れた人が翌日の症例の準備のために経食道心エコーの確認をするのに向いていると思います。

集中治療部

ICU管理について総合的に記載している本です。
人工呼吸器から疾病ごとの対応、鑑別まで非常に広い範囲を網羅しています。そのためハンドブックといいながらハンドサイズではありませんが、ICU研修をするのであれば確実に持っておきたい書籍の一つです。

ペインクリニック

ペインについての基本事項をQ&A形式でまとめたものです。
基本的な内容について包括的にまとめていますので、初学者が一から読み込んでいくために使いやすいテキストとなっています。

小川節郎氏の著書であるペインクリニシャンのためのキーワード100の最新版です。
ペインに関する内容がキーワードごとに羅列されているため、ペインを基礎から学んでいきたい人や、辞書的に用いたい人に向いている本だと思います。各内容について詳細に記載されており、内容は決して浅くはありません。ただ、各項2~4ページ程度しか記載されていませんので、網羅的とは言い難いです。

麻酔雑誌

日本麻酔科学会の準機関紙です。
最新の研究論文や臨床報告などについて多く記載されており、最新の麻酔事情を知るためや、気になる研究室の動向を知るためにとても優れた雑誌です。

「麻酔」と同様に論文や症例報告などを多く記載している雑誌です。
ただし、その中でも実臨床に即したものを選んで収載しています。

Lisa
専門家があるテーマについて方法論や最新情報を述べていくと言った感じの雑誌です
「自らが読みたい雑誌をつくる」というコンセプトで作られており、日本語で分かりやすく説明されていることが多く比較的読みやすい記事が多く並んでいます。どの雑誌を買うか迷った場合にはまずこれを選ぶと良いでしょう。

漫画

大学病院を舞台に、心臓外科医である朝田龍太郎を主人公とする物語です。
話の骨子は心臓血管外科ですが、荒瀬という凄腕の麻酔科医が登場しており、麻酔科の知名度を大きく上げました。
この作品はドラマ化もされており、非常に知名度が高いです。

麻酔科医の日常を描くという珍しい作品です。
内輪ネタが多いため、麻酔科医にとって非常に面白く、タメになる作品となっています。
ただし、麻酔科経験がないとわからないネタも多く、一般受けは今一つです。|

小説

江川晴氏の小説。研修医終了後に麻酔科医となった主人公が挫折し、思い悩む話です。


論説文

日本医師会の第17代会長である唐澤祥人氏の著書です。医師の置かれる窮状を訴える本です。麻酔科とは直接関係はありません。

  • 最終更新:2021-03-06 21:16:46

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