静脈ルート確保

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0.基本的な流れ

※動画を見ながら確認してください。
1.駆血をする
2.血管を探す
3.目的とする血管をアルコール綿で消毒する
4.穿刺する
5.駆血帯を外す
6.内筒を抜く
7.点滴をつなぐ
8.固定する

1.駆血をする

 駆血の目的は静脈を鬱滞させ、血管を膨らませることです。
 動脈を塞ぐほど強く駆血すると動脈血が静脈に流れ込まなくなるため駆血の効果が弱くなり、駆血が弱いと静脈が膨らまなくなります。強く駆血するが動脈血を塞がない程度が良い駆血となります。
 なお、動脈を塞いでいないかどうかは橈骨動脈を触れることで確認できます。

2.血管を探す

 まずは穿刺する静脈に当たりを付けます。
 麻酔科の場合、特に手背が好まれます。その理由として「失敗してもより中枢側で再度トライすることが可能なこと」「より末梢側であるため、手術中に操作しやすいこと」が挙げられます。
 また、血管の分岐部が特に好まれます。これは血管が左右に逃げるリスクをなくすことができるためです。
 なお、血管の膨らみが悪い場合には以下の方法でよりしっかりと血管を膨らますことができます。手軽ですので、A、B、Cくらいはルーチンでやってもいいかもしれません。
A.アルコール綿でこする
B.軽く叩く
C.患者に手をグーパーしてもらう
D.温める
E.腕を低い位置にして再度駆血する

 この操作でルート確保の成否がかかっていると言っても過言ではありません。必要に応じてより細い針を使用するようにしましょう。

3.目的とする血管をアルコール綿で消毒する

 一般的にはアルコール綿ですが、アルコール過敏症の患者にはクロルヘキシジン綿などを使用します。
 この操作には消毒の他に血管を膨らますという意味があります。消毒をした後に叩くようにするとより血管が膨らみやすくなります。

4.穿刺する

 血液の返り方や外筒の色の変化の有無は針の種類によって異なります。
 一般的な手順としては以下のようになっています。

血管に穿刺 → 逆血を確認 → 針を倒して数mm程度進める → 外筒を進める。

 なお、血管内に上手く留置された場合には外筒を進めた後も留置針のシリンジ内への逆血が続くので、成否を予測することができます。
 また、留置針の一例として留置針の一種であるサーフローの動画を挿入します。留置針の構造を大まかに理解する手助けになれば幸いです。


5.駆血帯を外す

 針を抜く前に駆血帯を外すのが基本です。その理由は逆流防止弁がついていない留置針の場合、駆血により高まった静脈圧により、血液が逆流するからです。逆流防止弁がついている場合にはそのようなことは起こりませんが、シリンジなどで一度採血すると逆流防止弁は機能を失います。

6.内筒を抜く

 5番で述べたように逆流防止弁がない場合には駆血帯を外した後でないと逆血する可能性があります。

7.点滴をつなぐ

 接続が甘いと点滴と留置針の外筒の隙間から漏れることがあります。
 きちんと滴下するか、皮膚が腫れないか、疼痛の増強がないかなどを確認します。

8.固定する

 外筒の位置によって滴下速度が変わることがあります。滴下が悪い場合には外筒を少し引いて固定するのも一つです。可能なら点滴を絞らずに滴下を確認しながら固定するのもいいでしょう。

9.ルート確保初心者が行いやすい失敗

1.血管の角度があっていない。
 血管に平行に留置針を進めないと当然ながら側面を突き破ってしまいます。この角度は意外とシビアで、細い血管なら5度ずれると高確率で失敗します。針と血管の角度をきちんと合わせる習慣を付けましょう。

2.角度が深すぎる。
 上手く入らない場合には留置針の角度を挙げるのもいいかもしれませんが、初めは留置針はできる限り寝かせるようにした方が成功率は上がります。

3.針を強く押し付けすぎる。
穿刺のときに針を押し付けるとそれだけで血管が逃げてしまいます。そうなると想定した位置から血管がなくなってしまい、当然失敗につながります。血管が逃げないように、あくまでソフトに穿刺するようにしてください。

10.より難しいルートを確保するために

1.エコーガイド下穿刺
 血管がどうしても見にくい場合にはエコーで静脈を確認しながら穿刺する方法もあります。
 静脈はプローブを押し付けると潰れることが特徴です。

2.針先を180度回す
針は特定の向き以外ではうまく刺さりません。つまり、針が血管に入ってから針先を180度回すと、血管後壁を突き破りにくくなります。ただし、刺さらないわけではありませんので、過信は禁物です。

  • 最終更新:2016-05-14 16:11:25

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