関節リウマチ

※合併症麻酔に一歩深い知識を



概要

関節リウマチは全身の滑膜に炎症を生じることで関節の破壊や変形を生じる自己免疫疾患の一種です。
その他の自己免疫疾患と同様、他の自己免疫疾患を合併しやすいという特徴もあります。
症状としては朝のこわばりや痛みが特徴となります。

注意点

① 内服薬に注意

関節リウマチの治療のために抗リウマチ薬やステロイドが使用されます。
抗リウマチ薬は作用時間が長いため術当日は中止として構いません。
ステロイドは継続することとし、用量や服用期間が長い場合にはステロイドカバーを考慮する必要があります。

② 関節病変に注意

関節リウマチは全身の関節に症状が出現します

・顎関節症
顎関節症はⅡ型がメインですが、Ⅲ型を合併することもあり、開口障害やクロージングロックの可能性を考慮する必要があります。顎関節症のページを参考にしてください。

・環軸椎亜脱臼
環軸椎亜脱臼は頸椎の関節が外れ、様々な臨床症状を生じるものです。
頸部の運動制限や後頭部痛、四肢のしびれなどの症状がある場合には後屈に注意が必要です。延髄圧迫による突然死の可能性もあるため整形外科に相談する必要があります。
また、環軸椎の亜脱臼がなくても頸部の関節が癒合し、後屈制限を生じている場合があります。必ず頸部の可動性を確認するようにしましょう。

・輪状披裂軟骨関節炎
声帯にある輪状披裂軟骨にも関節炎が生じる可能性があります。
臨床症状として後頭部の疼痛や嚥下痛、嗄声、喘鳴などの症状が出現します。
誤嚥性肺炎のリスクや抜管後の呼吸困難のリスクに繋がる可能性があるため、そのような兆候が認められる場合には耳鼻科に相談する必要があります。
明らかな輪状披裂軟骨関節炎がない場合でも可能ならラリンギアルマスクを使用した方がよいでしょう。

・四肢の変形
四肢の変形がある場合には直接命にはかかわらないかもしれませんが術中の体位に制限が出る可能性があります。
症状が強い場合には必ず可動域を確認しておく必要があります。
また、変形部に圧迫による褥瘡が出現しやすいため、そのような部位にはクッションなどによる保護を与える必要があります。

③ 関節以外の合併症

自己免疫疾患にはよくあることですが、その他の合併症を生じている場合もあります。
特に間質性肺炎や肺線維症、心膜炎、腎炎など術中の管理に直接結びつくものも多く認められます。
術前に可能な限り呼吸機能検査、心電図、胸部Xp、採血などの検査をしておく必要があります。

また、術後に下肢静脈血栓症が出現しやすくなっているため、下肢静脈血栓の対策をする必要があります。

  • 最終更新:2017-06-08 23:08:31

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