覚醒剤中毒

※合併症麻酔に一歩深い知識を



概要

覚醒剤とはアンフェタミン、メタアンフェタミンといったドーパミン作動性のある薬剤によって脳神経系を賦活し、心身の活動を活性化する薬剤である。誰もが知っているように、日本では所持や使用が禁止されている。
診断はトライエージを用いて尿検査で行うことができるが、許可のない患者に対して強制検査をすることは法的に禁じられているため、現場で疑ったからと言ってむやみに検査をしてはいけないことになっている。
血液検査でもCK上昇やCre上昇、高K血症が生じることもあるが、これらから覚醒剤乱用の診断はつけがたい。

注意点

① 覚醒剤中毒を疑う時

 日本では覚醒剤乱用患者と遭遇する機会が多くないため、日常診療で覚醒剤乱用患者と有っても上手く疑うことができない可能性もある。
 覚せい剤を使用すると血圧の上昇や散瞳、発汗など、交感神経の異常な興奮が認められる。一方でドーパミン系の異常な興奮のため、幻覚や妄想、引きこもりなどの統合失調症に似た症状を呈することがある。
 統合失調症と比較して覚醒剤によるものは回復してくるが、症状が落ち着いてからも同様の症状が外的誘因なくフラッシュバックしてくることがある。

② 覚醒剤の合併症とその対策

覚醒剤の乱用によってさまざまな合併症が生じることがある。
基本的には麻酔薬と相互作用を起こすことはないが、メトクロプラミドやドロレプタンなどは覚醒剤と同様にドーパミン系に作用するため、できる限り使用しない方が無難。詳細は術後の吐き気のページを参照のこと。
なお、覚醒剤として有名なヒロポンの添付文書では全身麻酔により不整脈や心室細動が生じ得ることが記載されている。手術をするのであれば、離脱症状が治まるくらいまで期間を置くと良い(約週間程度)。可能なら除細動できる環境を用意する必要がある。

・統合失調症様症状:覚せい剤中毒によるものであっても機序が統合失調症と同じであるため、基本的には統合失調症に準じて対策を行うことになる。
・高血圧:異常な興奮状態による。これも高血圧に準じた対応を行う。
・針刺し感染症:針で使用している場合には、回し打ちによりHIVやHBV、HCVなどの感染症を持っている可能性が高くなる。感染がわからない場合にはスタンダードプレコーションを強く意識する必要がある。
・火傷:加熱吸引をしている場合には角膜や鼻腔などに火傷を負っている場合がある。鼻出血などの危険もあるため、その可能性が疑われる場合にはマーゲンチューブなどは口から入れることにする。

  • 最終更新:2017-06-08 23:03:09

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