術前管理

※麻酔科研修で必ず持って欲しい一冊です

※このサイトは要点のみを記載するようにしています。きちんと勉強するには成書を参照することを強く勧めます。


基本的な流れ

A.カルテ診の施行
B.患者との面接
C.麻酔法の決定
D.前投薬の決定
E.絶飲食時間の決定

A.カルテ診

 患者に会う前に外科などが記載するカルテを確認しましょう。
 この際のチェック項目は以下の通りです。
 
・術式や使用道具など(輸血や患者が術後に移動する病棟なども含む)
・患者の名前、性別、年齢身長、体重、BMI
・患者の基礎疾患、内服薬
・患者状態(ADLなど)
・手術歴や過去の麻酔チャート
・血液検査、血液ガス、感染症検査
・心エコー、心臓カテーテル
・心電図
・呼吸機能検査
・胸部Xp
・CT、MRIなどの画像検査

いろいろ書きましたが、要するにカルテを片っ端から見て書いてある情報をまとめていくだけです。
血液検査の中でも、肝機能・腎機能・凝固能・CBCなどは必ず検査が施行されていることを確認しましょう。
どの検査を必須とするかは病院によって異なりますので、それは施設ごとの違いを確認してください。

B.患者との面接

カルテから情報を得るのはもちろんのこと、患者と直接面接をして情報を得ていく必要があります。
緊急手術で時間がない時にはAMPLE(アレルギー歴(Allergy)、内服薬(Medicine)、既往歴(Past history)、最終食事時間(Last meal)、その他(extra))は最低限聴取しましょう。
得ていく情報以下の通りです。あとは患者のリスクごとに聴取しないといけない内容もありますので、合併症麻酔・術中トラブルの項も参考にすると良いでしょう。

・カルテ診記載内容の確認や情報の補完(既往歴、アレルギー歴、喫煙歴、内服状況、持病の状態、予防接種の有無などを確認する)
・最終絶飲食(緊急手術の場合)
・胸部聴診
・気道評価(項目は以下の通り。リスクについてはDAMのページ参照)
マランパチ分類3~4 頚部放射線後・頚部腫瘤 男性
短いオトガイ間距離 歯牙の存在 BMI 30以上
46歳以上 顎鬚の存在 太い首
睡眠時無呼吸症候群 頚椎不安定・稼動制限 下顎の前方移動制限
・動揺歯の有無
・アレンテスト(Aラインを確保する場合)
・Vライン確保可能かどうか
・脊椎の状態(硬膜外麻酔や脊椎麻酔をする場合)

C.麻酔法の決定

基本的には導入・維持・ラインの情報を決めることになります。

・導入の種類(rapid、slow、crush)
・導入薬剤の種類
・挿管するのか声門上器具にするのか
・維持に用いる吸入ガスや薬剤の種類
・Vラインを何本用意するか、Aラインを取るのかどうか、CVラインを取るのかどうか
など

D.前投薬の決定

施設ごとに用いている前投薬があればその継続などを検討します。
使用中止すべき薬剤についてはこちらのサイトを参照して下さい。

E.絶飲食時間の決定

清澄水 2時間前まで。蛋白が多い飲料は排泄が遅くなるので注意
母乳 4時間前まで。
人工乳、牛乳 6時間前まで
軽食 6時間前まで(エビデンス不十分)
揚げ物や脂質を多く含む食事 8時間前まで(エビデンス不十分)

  • 最終更新:2020-03-25 13:02:52

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