腕神経叢ブロック

※最も臨床に即した神経ブロック指南書



概要

腕神経叢ブロックは主に上腕に分布する腕神経叢に所属する神経をブロックする手技です。
主な方法として「斜角筋間アプローチ」「鎖骨上アプローチ」「鎖骨下アプローチ」「腋窩アプローチ」の計4つの方法があります。

手技 概要
斜角筋間アプローチ 神経根から神経幹に至る部分をターゲットにします。より中枢に近く、広く鎮痛を効かせやすい一方で、合併症を生じやすいことでも知られており、安全性を考慮する必要があります。
鎖骨上アプローチ 神経幹から神経幹枝にかけてをターゲットにします。腕神経叢が最も集積している位置であり、早い効果発現が期待できるが、胸腔穿刺のリスクが高いというデメリットがある。
鎖骨下アプローチ 神経束の部分をターゲットにします。鎖骨上アプローチに比べても範囲が狭くなりますが、腕部の神経には全体に強く、胸腔穿刺を起こしにくいというメリットはあります。また、穿刺距離が比較的長く、感染も起こしにくい位置であることから、カテーテルを留置するには向いている方法です。
腋窩アプローチ 神経束から分岐した、さらに末梢の終末枝をターゲットとします。平易で合併症も少ないため、従来からよく使用されています。

解剖

腕神経叢は第5から第8の頚神経および第1胸神経から構成されます。
これらの神経根が上神経幹、中神経幹、下神経幹の三つの神経幹を構成した後、神経幹枝となり、外側神経束、後神経束、内側神経束の三つの神経束へと組み変わり、これらが再度末梢神経へと分岐していきます(下図)。

腕神経叢.jpg
※引用サイト:日本整形外科学会

各方法の有効範囲

上肢神経支配.jpg
※引用サイト:フィットネスの勧め
神経 腋窩ap 鎖骨下ap 鎖骨上ap 斜角筋間ap
正中神経
尺骨神経
橈骨神経
内側前腕皮神経
筋皮神経
腋窩神経 ×
鎖骨上神経 × × ×
内側上腕皮神経 × × × ×
肋間上腕皮神経 × × × ×
※腋窩アプローチにおいて筋皮神経領域は弱いので筋皮神経ブロックを併用する事も多いです。
※内側上腕皮神経と肋間上腕皮神経は腕神経叢を通らないので、腕神経叢では痛覚遮断をすることができません。

  • 最終更新:2017-03-16 09:00:09

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