腎機能低下・腎不全

※合併症麻酔に一歩深い知識を



分類

CKD ステージ分類
?度 eGFR 90以上
?度(軽度) eGFR 60~89
?度(中等度) eGFR 30~59
?度(重度) eGFR 15~29
?度(腎不全) eGFR 14以下

概要

腎臓は尿をつくることに依り水分の調整をする他、薬剤の排出や電解質の調節など多様な機能を持っている。
腎不全ではそれらの機能が低下しており、バイタルや血液ガスのデータが乱れることが多い。
特に腎臓は全身状態に与える影響が大きく、麻酔を行う場合には多くの注意が必要となる。

注意点

? 合併症に注意

腎不全がある場合には生活習慣病や糖尿病が背景にあることも多い上、腎不全により各臓器に障害が生じていることがある。
患者が腎不全を生じている場合には、「糖尿病の有無」「心不全・虚血性心疾患」「高血圧」「肺拡散能の低下」「貧血」「凝固能異常」「脳浮腫」「タンパク喪失」「電解質異常(高K、低Na、低Ca、高Mg)」「易感染性」などに気を付けなければならない。
注意点については各項目を参照。

? 透析の有無を確認

透析をしている場合にはシャントが作成されていることが多い。シャント側ではラインを取らないように注意する。
詳細は透析のページへ

? フロートラックなどの使用の検討

腎不全時は特に脱水に注意する必要がありますので、フロートラックなど輸液量をモニタリングできる機材があると便利です。使用できる施設ならば必要性に応じて使用を検討してみてもいいでしょう。

? 輸液に注意

腎不全時には尿量が保てている場合には輸液を多めにすることが推奨されている。
?度:特に気にする必要はない。
?度:十分な輸液を行う。
?度:十分な尿量の確保が必要。十分な輸液を行い、場合によってはラシックスやイノバンの投与を考慮する。
?度:状況によっては術前よりラシックスやイノバンの使用を考慮する。また、場合によっては術前日に透析を行う。
?度:手術前日の透析が必要。
※透析を行う場合、透析直後は電解質が不安定になるので避けること。

? 薬物に注意

☆使用を避けるもの:腎障害の増悪または薬物の高度遷延
パンクロニウム、NSAIDS

☆効果の増強・半減期の延長を呈するもの:腎代謝だが禁忌ではない
塩酸モルヒネ、フェンタニル、ケタミン、チオペンタール、ジアゼパム(透析で除去されない。要注意)、硫酸アトロピン、ベクロニウム

☆影響を受けないもの
アルチバ、プロポフォール、レラキシン(高Kには注意)、吸入麻酔薬、ミダゾラム、デクスメデトジン、ロクロニウム

☆効果が減弱するもの:腎障害により逆の作用の物質が増加するため

? 貧血の合併に注意

腎層は赤血球の産生を促進するエリスロポエチンというホルモンを作っています。そのため腎不全では赤血球が減少しやすく、貧血はかなり多い合併症となっています。貧血の項を参照してください。
輸血をすると血中のカリウムの上昇が起こり易いため場合によってはカリウム休薬フィルターの使用を考慮する必要があります。

? 電解質に注意

腎不全がある場合、腎臓よりのカリウムの排泄が阻害されるため、高K血症が合併しやすくなっています。
術前にKの値やカリウム制限の状況を確認する必要があります。
特にカリウム制限をしておらず、数値が正常なら特に気にする必要はありませんが、数値の異常やカリウム制限がある場合には輸液をカリウムフリーの者にする必要があります。

? 可能な限りIV投与薬剤の少ない麻酔法を選択する。

腎不全は特に薬物の遷延が多い合併症です。
使用可能ならば硬膜外麻酔や脊椎クモ膜下麻酔、神経ブロックなどを考慮すると良いでしょう。

? 麻酔深度は深めに保つ

交感神経の興奮が強くなると、腎血流が減少するため腎不全の増悪のリスクが高くなります。
腎不全を合併している際には鎮痛を強くし、浅麻酔にならないように注意する必要があります。薬物としてはアルチバが有効ですが、血圧の低下には注意が必要です。

? 極度の低血圧を避ける

血圧が低下することは腎血流の低下に繋がります。
腎不全がある際には腎血流を保つため、極度の低血圧を避ける必要があります。
薬物としてはイノバン辺りが尿量の確保もできるため使用しやすいでしょう。

  • 最終更新:2017-06-08 23:00:57

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