結核

※合併症麻酔に一歩深い知識を



概要

二類感染症の代表ともいえるものである。また、空気感染のためある程度離れている人にでも感染する特徴がある。
結核は近年感染患者が減ってきているとはいえ、日本ではまだ感染患者が多く、毎年2万人の新規患者が発生しており、手術を受ける患者に合併していることもある。
分裂速度が遅いため、急性に全身状態に影響を与えることは少ないが、手術に関係するスタッフへの感染に配慮する必要がある。

注意点

① 肺菌の有無を確認する

基本となるのは喀痰培養です。これが陽性であれば排菌しており、陰性であれば排菌はないと考えられます。
ただし、結核菌は分裂が遅く、培養に6~8週間程度かかるため、手術を急ぐ際には確認することができません。

喀痰塗沫検査で1視野に平均1個以上の結核菌がある場合には結核菌を伝播させるリスクが高いとされますが、挿管を行い侵襲の大きい状態では多少の不安が残ります。安全のためには適切な治療が2週間以上行われた後、異なった日の喀痰塗抹検査が3回陰性であることを厚生労働省が退院要件として定めており、これを基準としても良いでしょう。

② 手術のための感染対策

感染性のある患者の手術を行うためには以下の対応をすると良いでしょう。
なお、培養陰性などで結核の電波の伝播がないとされている場合に行っても構いません。

・患者:導入まで外科用マスクを使用します。呼吸機能苦が強くなるためN95マスクでなくても構いません。また、手術終了後も可能なら部屋に戻るまでは外科用マスクを付けるようにします。
・スタッフ(医師含む):N95マスクを着用しましょう。終了した後は他の部屋に行く前に手術着、帽子、マスクなどを交換し、シャワーなどで体を綺麗にした方が良いでしょう。特にツベルクリン反応陰性の人は入室しないようにしましょう。
・麻酔科医:マスク換気、挿管、気管支ファイバー、抜管時の操作など閉鎖回路からガスが漏れる可能性がある手技はできる限り迅速に行うようにしましょう。なお、人工鼻にバクテリアフィルター月のものを使用するなどし、麻酔器が汚染されないようにする必要もあります(※)
※バクテリアフィルターを使用している場合には人工呼吸器の回路を交換する必要がないとされていますが、万一バクテリアフィルターを使用せず麻酔器が汚染された場合には各麻酔器の使用説明書を読みながら清掃するか業者に連絡する必要があります。
・外科医:感染の疑いがある部位を操作する場合には周囲に飛散しないように慎重に行う必要があります。
・手術室:可能なら陰圧室を使用します。いずれにせよ部屋は閉めてドアの開閉は最低限にします。部屋には必要最小限の物だけを置いておくようにし、可能なら当日最後の症例にすると良いでしょう。
・覚醒後の対応:覚醒後は手術室で様子を見て大丈夫そうだったらそのまま病棟へ帰るようにしましょう。呼吸状態が許すなら外科用マスクを着用すると良いでしょう。
・術後の清掃:バクテリアフィルタを交換しましょう。バクテリアフィルタがあるなら人工呼吸器の回路交換は必要ありませんが、ソーダライムくらいは交換してもいいでしょう。その他の使用した器具は廃棄するかオートクレーブなどの通常の滅菌を行えば再使用可能です。部屋の清掃は基本的にはアルコールなどによる清拭で構いません。

  • 最終更新:2017-06-08 23:11:43

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