筋委縮性側索硬化症

※合併症麻酔に一歩深い知識を



分類

※ALSの分類
普通型 上肢の筋萎縮と筋力低下が主体で、下肢は痙縮を示す
進行性球麻痺 言語障害、嚥下障害 など球症状が主体となる
偽多発神経炎型 下肢から発症し腱反射低下など二次運動ニューロンの障害が早期から前面に出る

概要

一次運動ニューロンと二次運動ニューロンが選択的に障害される疾患です。
一次運動ニューロン障害の症候として、痙縮、腱反射亢進、手指の巧緻運動障害、病的反射の出現がみられ、二次運動ニューロン障害の症候として、筋力低下、筋萎縮、筋弛緩、線維束性収縮が認められます。
最大の問題点は筋力が低下することです。また、筋弛緩薬が想像以上に遷延してしまう可能性があります。


注意点

① 呼吸筋の状態を確認する

%FVCが50%以下に低下している患者では呼吸筋の補助が十分ではない可能性があります。抜管のタイミングについては慎重に検討する必要があります。必ず換気量が十分に保たれていることを確認しましょう。
特に換気量が保たれていない状態だと誤嚥性肺炎が生じている可能性もありますので、予めレントゲンなどで確認しておく必要もあります。

② 全身麻酔の管理

導入と維持はプロポフォールとレミフェンタニルによるTIVAが望ましいです。術後の呼吸抑制を考慮するとフェンタニルは少なめにした方が良いでしょう。
吸入麻酔を使用する場合は遷延しにくいデスフルランが望ましいです。セボフルランでも良いですがイソフルランは避けた方が良いでしょう。

硬膜外麻酔は比較的安全ですが、高濃度の使用で上位ニューロンの障害を増悪させる可能性も指摘されています。ブロックは比較的安全であるとされています。

ニコチン受容体の感受性が亢進しているため脱分極性の筋弛緩薬は高カリウム血症などの合併症を生じやすくなっています。一方で非脱分極性であっても筋弛緩作用が遷延しやすいため、可能な限り使用しない方が良いでしょう。
TOFモニターも上位ニューロンの障害に関しては十分な信用性が得られません。可能なら拮抗薬のあるエスラックスを使用し、抜管時に十分な呼吸が得られるまで拮抗するのが望ましいでしょう。ネオスチグミンは抵抗性が強いため効果が弱い場合があります。


③ 脊髄くも膜下麻酔の管理

全身麻酔に比べると比較的安全と考えられますが、上位ニューロンの障害強い場合には障害側への局所麻酔の効果が増強しやすいため、脱髄現象が生じる可能性があります。ALSは原因が不明であり、神経毒性が残存する可能性については十分に説明する必要があります。

④ 術後の酸素投与

症状が重い場合には呼吸状態の悪化によりCOPDのように高CO2血症が遷延している可能性があります。
血液ガス分析を行いPaCO2を術前より確認しておくと共に、もし以上があれば術後の酸素投与は可能な限り少なくすることが望まれます。もし血液ガス分析がないのであれば、高CO2血症に準じた対応をする必要があるでしょう。

  • 最終更新:2017-06-08 23:02:53

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