目的別TEEの使用法

※最もメジャーな経食道心エコー問題集



はじめに

基本20画像を暗記したのはいいが、どの部位をどの順番に使えばいいのかわからないという方のためのページです。
最近では基本25画像、28画像などとバリエーションが増えており、実際人工心肺で下大静脈に脱血管を挿入する際には肝静脈と下大静脈を描出するviewが必要となっており、確かに20画像では足りない部分はあります。
それについては適宜対応致しますが、とりあえずこのページでは基本20画像をベースに記載していこうと思います。
かなり好みが入りますので、自分なりにアレンジしていただければと思います。

人工心肺を使用するのに必須のview

 

大動脈弁を評価したい

※基本はME大動脈弁短軸断面とME大動脈弁長軸断面が描出できれば良いのではないかと思います。左室流出路の狭窄やSAMの有無などを確認する場合にはME長軸断面もあると良いでしょう。レポートなどを書くときはTG長軸断面があった方が良いでしょうが、麻酔では必須ではないと思います。

ME大動脈弁短軸断面 30cm弱の深さで見えてくる、大動脈弁の弁膜症がある際に最初に描出するビューです。見やすいようにトランスデューサーの角度を調整して描出します。概ね45度程度でよく見えるようになるでしょう。大動脈弁の狭窄や形態の評価をすることができます。3Dエコーであれば大動脈弁の全体像を見ることができます。
ME大動脈弁長軸断面 ME大動脈弁短軸断面から、大動脈弁を画像の真ん中に入れながらトランスデューサーを90度増やすことで描出できます。大動脈弁の手術をする際、最もベースになるビューです。大動脈弁含む全体の形態評価や、術後の逆流の評価をすることができます。
ME長軸断面 ME大動脈弁長軸断面から少し深くして微調整してもよいですが、基本はME四腔断面から左室を真ん中に置いてトランスデューサーを120度程に捻ることです。僧帽弁と左室流出路から繋がる大動脈弁を評価できます。
TG長軸断面 大動脈弁や左室流出路の評価ができます。一応大動脈弁の観察はできますし、大動脈弁と垂直方向になるので、逆流や狭窄における速度の計算は最も正確となります。ただし、術中は描出が難しいことが多く、心臓手術では必須とは言えないかもしれません。

僧帽弁・左室流入流出路の確認

ME四腔断面 一番最初に確認する断面。概観の評価が可能であり、僧帽弁血流の評価も可能。
ME長軸断面 A2が最も長く見える断面。対側にP2も描出される。収縮期に両尖が一直線に並ぶのが特徴で、ずれている場合はいずれかの逸脱の可能性がある。ついでに左室流出路の確認もできるため、見ておくとよい。
ME僧帽弁交連断面 僧帽弁の前尖と後尖が合わさるところで切った断面。そのため、右がP1、左がP3、真ん中がA2となる。当然ながら収縮期は接合部が2種類あることになり、3つの部位がほぼ一直線になるのが特徴。少しずらすと、A2の両サイドにある太い腱索(strut chorda)を確認することもできる。
TG心基部短軸断面 厳密にはTG心基部短軸断面よりはほんの少しだけ手前。僧帽弁の短軸像を確認することができる。3Dエコーでは僧帽弁全体の概観を描出することができる。

三尖弁を評価したい

ME四腔断面 もっとも簡単に三尖弁を描出できる断面。大まかな三尖弁の評価はこれでもできる。
ME右室流入流出路断面 流入・流出路とともに三尖弁が見える断面。三尖弁がほぼプローブに直行するため、ドプラなどにより評価するにも向いている。
TG心基部短軸断面 三尖弁を短軸方向に見ることができる。3Dエコーを使用すると、三尖弁の全体像を見ることも可能。少し心尖部側にずらせば、腱索などの弁下構造を確認することもできる。
TG右室流入路断面 三尖弁の乳頭筋や腱索など、弁下構造が良く見える断面。

右室・流入流出路の確認

ME四腔断面 右心系を最も簡単に確認できる断面。右房、三尖弁、右室の右室流入路が同時に確認できる。
ME右室流入流出路断面 右室の流入、流出を確認する最も基本的な断面。
TG中部短軸断面 左心系とともに右神経も三日月型に描出することができる。右心系の圧が亢進している場合には左心系が押される特有の像を示す。

左心機能の確認

TG中部短軸断面 左心機能を確認するためには最も見やすく、描出しやすい断面。これだけ見ることができれば最低限の評価はできるため、慣れない場合や急ぐ場合はこれに絞ってもよいかもしれない。うまく描出できない場合、胃管で胃内の空気を抜くとうまくいくことがある。
TG心基部短軸断面 一般的な心機能の評価はTG中部短軸断面が主流だが、短軸像でEFの測定をする場合、この断面が基本となる。。
ME四腔断面 描出が簡単で、心臓の概観を見ることができる。
ME二腔断面 左室を長軸から見ることができる。SImpson法でEFを測定する場合、この断面が主流となる。

肺動脈カテーテルの深さを評価したい

 

右房・心房中隔欠損の確認

ME四腔断面 もっとも簡単に右房を評価できる断面。左房や心室も確認しながら全体の概観を見ることができるのが特徴。心タンポナーデが強い場合にはこの像でも確認することができる。
ME上下大静脈断面 ME四腔断面から右房を中心においてトランスデューサを回転させると楽。上下の大静脈、右房を確認できる像。心房中隔欠損を正確に評価できる断面でもあり、心房中隔欠損が疑われる場合には描出必須となる。



心室中隔欠損の確認をしたい

 

左心系異物の確認をしたい

 

解離腔の評価をしたい

 

左房の確認

ME四腔断面 もっとも最初に見える断面。左房の概観を見ることができる。プローブを引いてくると左心耳を確認することも可能。
ME二腔断面 左心耳を見るための基本的な断面。人工心肺離脱後のairの残存や心房内血栓の確認などはこの断面で行うことが多く、左房を評価するにあたって最も重要となる。

  • 最終更新:2018-08-14 11:50:55

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