心不全

※合併症麻酔に一歩深い知識を



分類

※NYHA分類(New York Heart Assicuation分類)
Ⅰ度 心疾患はあるが活動制限がない。
Ⅱ度 日常的な身体活動で動悸、呼吸困難、胸痛などの症状が出現する。
Ⅲ度 安静時には無症状だがわずかな活動で動悸、呼吸困難、胸痛などの症状が出現する。
Ⅳ度 安静時やほんのわずかな活動で症状がある。

※Forrester分類
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概要

心不全は心機能が極端に低下することで、全身への血液の駆出ガ困難になる病態です。
単一因子疾患ではないため、原因をしっかりと見据え、対策をしていく必要があります。

注意点

① 全身状態の把握

心不全が強くなってきた場合には当然ながら何らかの症状を伴っていることが多いです。
最低限心エコー、胸部Xp、心電図の評価は必要となります。可能な限り循環器内科に対診し、手術時のリスクについて評価を依頼した方がよいでしょう。
また、それを含め、心不全の原因を推定しておき、それに準じた麻酔をする必要があります。また、循環動態の異常がある場合にはForrester分類にのっとった治療をする必要があります

② 使用する薬物に注意

薬剤の中には心不全を悪化させるものもあります。以下の薬剤は心不全を増悪させる可能性があります。

・抗不整脈薬:心抑制、催不整脈
・Caブロッカー:心不全の悪化、血管イベントの増加
・NSAIDs、プロポフォール:Na貯留による循環血液量の上昇とそれに伴う心不全の増悪。
・オピオイド受容体作動薬:フェンタニル、レミフェンタニル(いずれも慎重投与、フェンタニルの方が心筋抑制は弱く、鎮痛のために必要ならこちらを中心として用いる)

以下の薬剤は使用可能となります。
・導入薬:ミダゾラム2~5mg(+ケタラール0.5~1.0mg/kg)
※この方法はドルケタとも呼ばれます。
・筋弛緩薬:ロクロニウム
・陽力変力作用薬:ドパミン、ドブタミン
・血管拡張薬(必要に応じて):ミリスロール(前負荷減少)、ペルジピン(前後負荷減少)、ヘルベッサー(前後負荷減少)、ニトプロ(前後負荷減少)、プロスタンディン(後負荷減少)

③ バイタルの管理

術中は通常のバイタルに追加して、フロートラックの挿入やCVPの測定をすると良いでしょう。
また、Aラインは挿管前に局所麻酔薬を用いて鎮痛を加えながら確保すると良いでしょう。
また、理想としてはスワンガンツカテーテルや経食道心エコーを挿入して循環動態の確認をしておいた方がいいでしょう。

HRが上昇すると心筋の酸素消費量が増加し、心筋虚血を招く原因となります。HRは適切に保つ必要があります。
フェンタニルの投与は慎重投与となっています。あまりにも心機能が悪い場合には導入直後は血管拡張による循環の破綻が生じ安いため避けたほうが安全とされますが、術中はしっかりと鎮痛を効かせておかないと心筋酸素需要が上昇するため循環の破綻を生じる可能性もあります。鎮痛は十分に行った方が循環的にはよいでしょう。

吸入麻酔薬を高容量で用いると循環が抑制される危険性があります。低容量で使用し、術中覚醒を防ぐためにはドルミカムを併用すればよいでしょう。

尿量は1ml/hr出ることを目標とし、必要ならラシックスを使用しましょう。

④ 抜管の適応について

呼吸状態や意識状態がよければ抜管をすることも可能。
抜管前に胸部Xp、動脈血ガスを確認し心拡大の有無や肺鬱血、肺水腫の有無、電解質バランスの変化、輸液量の評価などを確認する必要がある。

  • 最終更新:2017-06-08 23:12:38

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