循環管理について

※理解しやすい心電図診断の名書



0.概論

循環管理の目的は「バイタルを適切に保つことによる合併症の予防」「目的に応じた血圧のコントロールを行う」ことが必要となります。
循環の三要素は「心臓」「血管」「血液」であるとされています。これらをしっかり意識するようにしましょう。
なお、どの状況でどこまでの数値を許容するかは麻酔科医個人の判断となります。なので、このサイトに書いてあることはあくまで参考程度に留めて頂いてかまいません。

1.循環を評価する指標

※基本項目の内容は必須となっています。手術の侵襲度などに応じて必要なものを追加していきましょう。項目の内容についてはモニターについてのページを参照してください。

基本項目 心電図、血圧(NBP)、HR、SpO2など
バルーン挿入 尿量
Aライン 血圧(ABP)、血液ガス分析(乳酸値、ヘモグロビン値)、PPV
CVカテーテル・シース CVP(フロートラックとセットで血管抵抗、血管抵抗係数も観察可能)
フロートラック 心拍出量、1回拍出量、SVV、血管抵抗(要CV)、各項目のindex
S-Gカテーテル 主に肺動脈圧、その他肺動脈楔入圧、右室圧、など測定可能。
プリセップ CVに付属している。ScvO2を測定することが可能。
INBOS 脳の酸素飽和度。

2.昇圧薬の比較

持続薬剤

※γはμg/kg/minの意味です。
※α作用があるものは原則CVからの投与が必要となります。
物質名 商品名例 投与量 概要
ドパミン イノバン 1~5γ
上限20γ
α作用とβ作用の両方を持ち、HRと血圧の両方を上昇させる。腎血管拡張や冠動脈拡張の作用もあり、尿量も増加させる。
ドプタミン ドブポン 1~5γ
上限20γ
β作用のみを持ち、末梢血管はやや拡張する。肺血管抵抗も減少するため、肺高血圧や肺うっ血などで使用しやすい。
ノルアドレナリン ノルアドレナリン 0.02~0.03γ α作用と弱いβ作用を持つ。即効性も高く、血圧を保ちたいときに非常に使いやすい。
アドレナリン ボスミン 0.02~0.3γ 強力なα、β刺激作用。心肺蘇生時は0.1~1Aを静注する。長期使用でアシドーシスや腸管虚血のリスクが高まる。
イソプロテレノール プロタノール 0.005~0.5γ 強力なβ作用。強い除脈を改善させたいときに用いる。
オルプリノン コアテック 概要へ 10μgを5分間かけて緩徐に静脈内投与し、0.1~0.3γを持続投与。上限0.4γ。β受容体下流のPDEⅢ阻害作用により効果を発現する。作用はドブタミンと類似だが、他の薬剤で効果がないときに使用するのが原則となっている。
ミルリノン ミルリーラ 概要へ 50μg/kgを10分かけて投与し、0.5γを持続投与する。β受容体下流のPDEⅢ阻害作用により効果を発現する。作用はドブタミンと類似だが、他の薬剤で効果がないときに使用するのが原則となっている。

静注薬剤

物質名 商品名例 投与量 概要
エフェドリン エフェドリン 4~10mg α作用と弱いβ作用。交換神経末端に作用し、ノルアドレナリンの分泌を促進する。そのため連続投与により効果が減弱する(天井効果)。
フェニレフリン ネオシネジン 0.05~0.2mg 直接的なα刺激作用により血圧を上昇させHRを減少させる。末梢血管抵抗の増大により冠動脈血流も増加する。効果出現が早いが、5~10分程度で効果が切れる。
エチルフェニレフリン エホチール 2~10mg 直接的なα作用と弱いβ作用を有する。心拍数をほとんど変化させず昇圧できることが特徴。
硫酸アトロピン 硫酸アトロピン注 0.5mg 抗コリン作用を有する。除脈の解消に使われることが多いが血圧も多少上昇する。数時間程度作用が残存する。

抗不整脈薬

※この系統の薬剤はボーラスする場合でもアデホスを除いて基本的に緩徐に投与すること。
物質名 商品名例 投与量 概要
ランジオロール オノアクト 2.5~5.0mg
0.01~0.04γ
β受容体遮断薬。頻拍性不整脈に強い効果を示す。
リドカイン キシロカイン 1mg/kg
1~4mg/min
Naチャネルブロッカー。心室期外収縮など心室性不整脈に強い効果を示す。
プロカインアミド アミサリン 100~200mg
上限1000mg
Naチャネル遮断薬。上室性頻拍に使いやすい。
ピルジカイニド サンリズム 1mg/kg Naチャネル遮断薬。上室性不整脈、心室性不整脈、Pafで頻用される。
フレイカイニド タンボコール 1~2mg/kg Naチャネル遮断薬。上室性不整脈、心室性不整脈、Pafに用いられる。
アミオダロン アンカロン 概要へ 125mgを5%ブドウ糖液で100ml程度に希釈し10分で投与。その後750mgを5%ブドウ糖液500mlに加え33ml/hrで6時間投与、その後17ml/hrで持続投与。多くのチャネルを阻害することで、心室頻拍や心室細動、心房細動など多様な不整脈に対応できる。
ベラパミル ワソラン 0.05~0.1mg Caチャネル遮断薬。心房細動や上室性頻拍などで使いやすい。
ATP アデホス 10~20mg 急速静注を行う。房室伝導を強く抑制し叙細動効果を示す。

  • 最終更新:2017-03-15 16:47:09

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