下肢静脈血栓

※合併症麻酔に一歩深い知識を



概要

静脈血栓とは文字通り静脈内にできる血液の塊の事である。特に下肢にできた血栓が血行に乗ることによって肺塞栓を起こすことが知られている。
肺塞栓が生じた場合の対処法については肺塞栓のページを参照の事。

注意点

① 静脈血栓の性状から手術適応を決める。

当然ながら静脈血栓がある場合には術中トラブルのリスクが高くなりますので、手術の緊急性を加味して場合によっては延期を考慮する必要があります。静脈血栓がある場合にはD-dimerの上昇が認められますが、直接の確認はエコーまたは造影CT、血管造影などを行うこととなります。

位置としてはヒラメ筋静脈の発生頻度が高く、また剥がれやすい性質を持つため注意が必要です。

急性の下肢静脈血栓が生じた場合、1カ月以内の再発率は40%とされリスクが高くなります。そのため手術を延期して3カ月以上治療を続ける方が安全とされています。

② 血栓があるが手術の必要性が高い場合

可能ならIVCフィルターが一番安全とされます。
明確な基準はありませんが、循環器病の診断と治療に関するガイドラインでは下記のように定められています。
ClassⅠ:有効性が証明されているか意見の一致が見られる
ClassⅡa:有効性に対して意見の一致は無いが、有効である可能性が高い
ClassⅡb:有効性に対して意見の一致が無く、有効性の根拠が十分ではない。
ClassⅢ:有効性がなく、時に有害な可能性があるか、有害であるとの意見の一致が見られる。
永久IVCフィルター.jpg
非永久IVCフィルター.jpg

③ 静脈血栓の予防法

手術における静脈血栓のリスク因子は以下のように考えられています。
静脈血栓リスク.jpg

・早期離床:離床できない患者ではマッサージなどを行う。
・弾性ストッキング:中等度リスクの患者に有効。高リスクでは弱い。
・間欠的空気圧迫法:高リスクでも非常に有効だが、すでに血栓が出来ている場合には肺塞栓を生じる可能性がある。
・低用量未分画ヘパリン:8時間もしくは12時間ごとに未分画ヘパリン5,000単位を皮下注射
・用量調節未分画ヘパリン:最初に3500単位の未分画ヘパリンを皮下注射し、4時間後のAPTTを確認し、8時間ごとに未分画ヘパリンを前回投与量±500単位で皮下注射する方法
・用量調節ワルファリン:ワルファリンを投与しINRを1.5~2.5程度に保つ方法。作用発現に3~5日かかるので注意。
※ヘパリンやワルファリンは併用しないようにします。

  • 最終更新:2017-06-08 23:09:23

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