モニターについて
[PR] 麻酔科研修チェックノート
※麻酔科研修で必ず持って欲しい一冊です
1.各モニター
※項目が増えますので、呼気や吸気のガス濃度(etO2、inO2など)は省略します。
項目名 | 略語 | 基準値 | 概説 |
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マンシェットによる血圧 | NBP | 略 | 通常外来で測定するような循環指標。側伏位などでマンシェットが上にあると低下し、下にあると上昇するため、その場合には15~20mmHg程度補正して考える必要がある。 |
動脈圧 | ABP | 略 | 動脈にカテーテルを挿入し測定する血圧。持続的に測定できるメリットがある。 |
心拍数 | HR | 略 | 心臓が拍動した回数。心電図から得られるデータ。電気メスなどで乱れる。 |
脈拍数 | PR | 略 | 脈が触れた回数。パルスオキシメーターから得られるデータであり、カフによる血圧測定などで消失することがある。 |
経皮的動脈血酸素飽和度 | SpO2 | 94~ | 動脈血中の酸素飽和度を表す。数値の対応は下に別表があるので参考のこと。 |
呼気終末二酸化炭素分圧 | etCO2 | 37〜42 | 呼気中の二酸化炭素濃度を示します。PaCO2と相関しますが、個人差が大きいです。喫煙があるとPaCO2と大きく乖離しがちになります。 |
二波長指数 | BIS | 40~60 | 脳波を解析することで鎮静度を示すもの。覚醒時には「100」近くとなっている。 |
4連刺激 | TOF | 略 | TOFウォッチが必要。尺骨神経に4回刺激を加えて母子内転筋の動きを確認し、筋弛緩の効き具合を見るもの。反応が弱いときには反応した回数を記録し、筋弛緩が切れると最初の刺激と4回目の刺激の比率を示す。筋弛緩のない状態では「100」、1でも出たらバッキングのリスクはある。 |
テタヌス刺激後カウント数 | PTC | 略 | TOFウォッチが必要。TOFからさらに感度を上げたもの。PTC設定にした場合、TOF4回刺激後反応がなければさらに刺激を加えていく(刺激の回数は物によって異なる)。刺激回数と反応回数が等しくなると、もうすぐTOFが1となることを示す。 |
灌流指標 | PI Perf |
略 | 麻酔器によってはパルスオキシメーターがあれば確認可能。末梢組織における拍動性血液量と非拍動性血液量の比率。基準値がどうというよりは値の変化によってどの程度血管拡張が生じているかや末梢の収縮具合を確認するのに有用。 |
脈波変動 | PPV | 10~15 | Aラインを留置すれば一部麻酔器で確認することができる。脈波の呼吸性変動を確認することで血管内の水分充足を確認する。SVVと数値も内容もほぼ同じだが、フロートラックを使用する必要がない。 |
1回拍出量 | SV | 60~80 | フロートラックで表示される指標。心臓が1回で拍出する血液の量。 |
1回拍出量係数 | SVI | 33~47 | フロートラックで表示される指標。1回拍出量を体表面積で割ったもの |
1回拍出量変化 | SVV | 10~15 | フロートラックで表示される指標。1回拍出量と呼吸との関係を見ることで血管内の水分充足を確認する。基準値以上だと循環血液量の低下を疑う。 |
心拍出量 | CO | 4~8 | フロートラックで表示される指標。心臓が1分間で拍出する血液の量 |
心係数 | CI | 2.5~4.0 | フロートラックで表示される指標。心拍出量を体表面積で割ったもの。Forrester分類の指標となる。 |
体血管抵抗 | SVR | 800~1200 | フロートラックで表示される指標。表示にはCVが必要。細動脈の抵抗を意味する。 |
体血管抵抗係数 | SVRI | 1970~2390 | フロートラックで表示される指標。表示にはCVが必要。体血管抵抗を体表面積で割ったもの。 |
中心静脈圧 | CVP | 5~10 | CVやシースを挿入する必要があります。PEEPをかけるとその分値が高くなります。 |
右房圧(mean) | RAP | <5 | S-Gカテーテルなどが必要。CVPの方が簡便で用途が高く、麻酔中にはあまり使わない。 |
右室圧 | RVP | (収)15~30 (拡)0~8 |
S-Gカテーテルなどが必要。収縮期が肺動脈圧に近いため参考程度にはなる。 |
肺動脈楔入圧 | PCWP | 2~12 | S-Gカテーテルが必要。肺動脈でバルーンを膨らませて閉鎖系を作ることで右心系から左房圧を測定するもの。 |
肺動脈圧 | PAP | 15~30 | S-Gカテーテルが必要。術中の肺高血圧の評価などに用いる。 |
混合静脈血酸素飽和度 | SvO2 (ScvO2) |
70~80 | プリセップやCVカテーテルが必要。末梢動脈の酸素化を意味する。値が低いときには酸素需要の増大や酸素供給の低下を考える。逆に高いときには左右シャントや酸素消費の低下を考えます。 |
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SpO2 PaO2の対応
※看護ラボより引用
rSO2について
インボス(INVOS)がよく使われています。
700~950nmの波長の近赤外線を用いて頭蓋を通じて脳局所の酸素飽和度を確認します。
動脈血と静脈血の両方を見るため、個人差が大きく絶対値は存在しません。術前からの相対変化から脳虚血の有無を判断します。
測定値が20~50%程度低下していると対応の必要がある場合があります。
対応の例としては以下の例があります。
・インボス貼付位置や剥がれていないかの確認
・PaO2が低下していればその改善
・適切な血圧の確保
・貧血があればその解消
・瞳孔散財の有無(脳出血や脳梗塞などの可能性)
SvO2について
酸素は当然ながら「動脈血→組織→静脈血」の順に流れています。
正常に機能している動脈血(SpO2 100%)で組織が適切に機能(20~30%の消費)していれば、適切な静脈血(SvO2 70~80%)が得られるはずです。そのため、rSO2が正常値から外れるということは、動脈血か組織のいずれかや、血液の流れに異常があることを意味します。
※考えることが多くて慣れない内は分かりづらいかもしれませんが、最初は「SvO2が下がっていればヘモグロビンの低下や低循環がある可能性がある」程度の認識でよいと思います。慣れてきたら少しずつ判断材料を増やしましょう。
A.SvO2が高値
SvO2が高い場合には以下の原因が考えられます。
・動脈血がシャントを介して直接静脈血に流れ込んでいる
カテーテルの位置にもよるが心房中隔欠損症など、動脈から静脈に流れ込むような機序がある。疑われる場合には経食道心エコーなどによりシャントの位置を確認する。
・組織の酸素消費量が低下している
極度の低体温や広範な組織の損傷など、組織が十分酸素を消費することができない状態にある。低体温なら加温するなどして、確認する。組織の血流低下などが原因の場合には血圧を上昇させれば改善することもある。シアン中毒など、薬物が原因のこともある。
・循環が過度
心拍出量が多すぎて、組織が酸素消費を十分できない場合。β遮断薬などで調整する。
B.SvO2が低値
SvO2が低地の場合には以下の原因が考えられます。
SvO2が50%を下回っていると乳酸産生の亢進や組織の酸素供給の低下の原因となる可能性があります。
・酸素供給の低下
SpO2が低下していれば、当然ながらそれに伴ってSvO2も低下します。心臓の右左シャントや片肺換気などが原因で生じます。また、Hbの低下も血液中の酸素含有量が低下するためSvO2の低下の原因となります。
・低循環
血液循環が低下して入れば、組織に供給できる血液の量が限定されるため、SvO2の低下が導かれます。出血による循環の低下や心原性ショックなどが問題になります。輸液や輸血による循環血液量の増加や、カテコラミンなどによる循環のサポートによって改善を目指します。
・酸素消費の増加
体温の上昇、悪性高熱などにより酸素消費が増加すると、SvO2の低下につながる可能性もあります。
- 最終更新:2020-03-25 16:16:41