パーキンソン病

※合併症麻酔に一歩深い知識を



分類

Hoen & Yahr分類
Ⅰ度 片側のみの症状。機能障害はあっても軽微
Ⅱ度 両側の症状があるが姿勢保持障害なし。日常生活に多少の障害
Ⅲ度 立ち上がり反射に障害。歩行障害や姿勢反射障害が出る。
Ⅳ度 重篤な機能障害。日常生活に支障をきたす。
Ⅴ度 立位不可。車椅子か寝たきり。


概要

脳内のドーパミンの不足により錘体路症状を生じるもの。
静止時振戦、筋強剛、無動・固縮、姿勢反射障害などの他、様々な全身症状・精神症状を呈する。
その代表として便秘や起立性低血圧、排尿障害などの自律神経障害や、感情鈍麻、不安、鬱病、認知症などの精神障害がある。
なお、フェノチアジン系やブチロフェノン系の薬剤で錐体外路症状が誘発される可能性がある。
パーキンソン病がある場合の麻酔は非常に注意が必要である。

注意点

① パーキンソン病の治療に伴うもの

パーキンソン病の投薬内容を確認する。中枢性筋弛緩薬、β遮断薬、H2ブロッカー、抗不安薬などは中止する。
エフピー(MAOβ阻害薬)は1~2週間で漸減・中止する。
その他、パーキンソン病の治療のための薬は手術当日も継続する。
なお、抗コリン薬を内服している場合には硫酸アトロピンを使用してはいけない。
L-dopaは中止により悪性症候群を起こす可能性があるため注意する。

② 手術適応に注意

術後の入院期間の延長や転倒、誤嚥性肺炎、無動による肺塞栓、便秘などのリスクが高いため手術の適応は慎重に行う。

③ 導入薬の選択

プロポフォールは振戦を抑制する作用があるとされるため、パーキンソン病の治療である脳定位手術ではwake up testの邪魔になる可能性があるため避ける。
ラボナールは安全とされる。

④ 維持薬の選択

フェンタニル、アルチバ、モルヒネなどのオピオイドは筋強剛を増悪させるため避けるが、禁忌ではない。
可能なら脊椎麻酔や硬膜外麻酔、神経ブロックなどの手技を使用する。

セボフルレンやイソフルレンは安全であるとされる。
ハロセンはL-DOPAを使用している場合には不整脈を誘発する。

⑤ バイタル変動が強い

発汗異常があり体温の異常が出やすい。また、脱水や輸液過剰、体位変換などの刺激で容易にバイタルが変動する。
低血圧は難治性であることが多い。輸液の他、ネオシネジン、エフェドリン、ノルアドレナリンなどは投与量に注意する。
イノバンはやや反応が減弱しているが使用可能。

⑥ 抜管に注意

呼吸抑制などが生じやすいため抜管は筋力の回復、呼吸や意識状態の安定、精神状態が安定してから行う。抜管前に十分な鎮痛をすること。

トラブル時は以下のように対応する。

せん妄・興奮がある → ドルミカム静注
筋硬直がある → ドパストン25mgを緩徐静注
振戦 → アキネトン5mgを緩徐静注


⑦ PONV予防のための薬剤の選択。

プリンペランやノバミンはパーキンソン症状を増悪させる可能性がある。
使用するならナウゼリン(内服・坐薬)を選択する。

⑧ 術後のオピオイドに注意

エフピー(MAOβ阻害薬)を内服している患者の場合、術後鎮痛のオピオイドで自律神経症状(体温上昇、異常発汗、頻脈など)、精神症状(興奮、錯乱など)、神経・筋症状(ミオクローヌス、振戦など)を伴うセロトニン症候群が出現することがある。

⑨ 術後のせん妄に対して

パーキンソン病は術後せん妄を起こしやすいが薬の選択も難しい。
糖尿病がなければセロクエルを選択、ある場合はクロザリルを選択する。

  • 最終更新:2017-06-08 23:04:00

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