食物アレルギー

※合併症麻酔に一歩深い知識を



分類

※食物アレルギー臨床分類
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概要

 基本的には食物アレルギーが麻酔に大きな影響を与えることはありませんが、一部のアレルギーは特定の状況で問題が起こることがあります。
 多少のアレルギーがあってもそれがアナフィラキシーにならないのであれば大きな問題はありません。そのため、本来は即時型のアレルギーや食物依存性運動誘発アナフィラキシーのみを警戒すればよいのでしょうが、実臨床上は少しでも食物アレルギーのリスクがあればアレルギーとして対応することが多いです。

注意点

① 麻酔に影響を与えるアレルギー

麻酔に置いて影響を与えるアレルギーは限定されています。例えばエビカニアレルギーがあっても気にする必要はありません。以下のアレルギーがある時には詳細に問診を取る必要があります。
一部投与しても問題ないとされていますが、禁忌指定されている場合、何かある場合には投与した人が責任を負うことになります。

・大豆:プロポフォール(溶剤として大豆油使用)
・卵:プロポフォール、ロピオン、ノイロトロピン、脂肪製剤(イントラリピッドなど)で溶剤として卵油使用
・果物、野菜、ナッツ:ラテックスアレルギーと交叉がある可能性があります。リンゴ、キウイ、ナシ、モモ、メロン、サクランボ、プラム、アンズ、マンゴー、バナナ、グレープフルーツ、スイカ、アボカド、セロリ、ナス、ニンジン、キュウリ、トマト、ジャガイモ、アーモンド、ピーナッツ、クルミ、ココナッツ、ヘーゼルナッツなどその内容は多岐に渡ります。覚えるよりは果物、野菜、ナッツは交叉があると覚えておく方が良いでしょう。

② 食物アレルギーがある場合

アレルギーがあるのが確実な場合で、そのアレルギーが麻酔に関与する場合には、対応する必要があります。

また、アレルギーの可能性がある食物があり、それが麻酔に関与する可能性が有ると考えられる場合には皮膚科やアレルギー内科に対診し、アレルギーの可能性について確定しておく必要があります。
特に嫌いと言うだけで「アレルギーがある」という患者もいますし、果物の場合にはタンパク質分解酵素それ自体が口腔の刺激作用があるため、それを以て「果物を食べると口がしびれる」と口にすることもあります。

③ アレルギーがあると考えられる時

アレルギーがあることが確定した場合や、アレルギーの可能性がある場合には、それに準じた対応が必要になります。

一番は、アレルゲンとなる薬物や物質を使用しないことです。
、また、術前にフェキソフェナジンやエピナスチンなどのH1ブロッカーを予防的に内服しておくのも一手です。

④ 食物アレルギーで症状が出た場合
皮膚症状がある時:局所的な症状であれば経過観察します。全身性の蕁麻疹が認められる時にはアタラックスPなどのH1ブロッカーを投与します。
呼吸器症状がある場合:気管支喘息に準じた治療を行います。
循環抑制がある場合:アナフィラキシーショックに準じた対応を行います。

  • 最終更新:2017-06-08 23:08:41

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