頚動脈狭窄・閉塞

※合併症麻酔に一歩深い知識を



概要

 動脈硬化が強い患者や高齢の患者などでは頸動脈の閉塞や狭窄が生じていることが多く、術中の管理をする際に問題となる場合があります。これらは総頸動脈や内頚動脈で生じることが多いですが、それらは脳血流に関与してくるため決して麻酔科としても軽視することができません。
 とはいえ、やるべきことは主に頸部を刺激しないことと血圧を低くし過ぎないことくらいでしょうが。

注意点

① 術前の評価をしっかりとすること

頸動脈狭窄は主に頸動脈の粥状硬化をベースに生じ、狭窄が強いほど脳梗塞のリスクは高くなるとされています。
必ず専門科に対してリスクの評価を依頼し、手術の可否について相談する必要があります。
なお、頸動脈狭窄の治療には以下が挙げられます。必要性に応じて手術に先行して治療をする必要があります。内科的治療では抗凝固薬を使用することもありますので、、術前中止の可否などについても確認する必要があります。

・内科的治療:低用量アスピリン、スタチンを継続的に投与する。
・外科的治療:頸動脈内膜剥離術か、頸動脈ステント留置術のいずれか。

また、冠動脈疾患などその他の動脈硬化性疾患も合併しやすいため注意が必要です。

② 頸部の刺激を避ける

頸部を刺激することで血栓が脳に移動し脳梗塞を生じる可能性があります。
特にマスク換気時、胃管挿入時には注意をする必要があります。

③ 血圧と脱水に注意

脱水を生じることで脳血流の低下が生じ、脳梗塞を生じる可能性があります。十分な輸液をすることにしましょう。CVラインがあると便利です。
また、低血圧でも同様ですが、極度の高血圧が生じた場合頸部のプラークが流れてしまい脳梗塞を生じる可能性がありますので、そちらにも注意が必要です。
また、急激な昇圧が生じた場合血栓が飛びやすく、逆に急激な降圧が起こった場合にも脳血流の低下が生じやすくなります。
十分に麻酔を効かせ、適切な血圧で急激な変化を生じないように注意しましょう。可能なら動脈ラインを取り血圧の変化に素早く対応できるようにしましょう。
BISモニターがあると脳梗塞の出現を感知できる場合があります。

  • 最終更新:2017-06-08 23:09:55

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