貧血

※合併症麻酔に一歩深い知識を



分類

急性出血に対する赤血球濃厚液輸血の適応
Hb>10g/dL 輸血の適応はまれ。(チアノーゼ性心疾患や重症呼吸器症状の場合必要になることもある)
6~10g/dL 患者のリスクを考慮
<6g/dL ほぼ輸血を考慮する。

概要

医学的には貧血とは血中のヘモグロビンが減少した状態を意味する。
ヘモグロビンが減少すると動脈血中の酸素濃度が低下するため、組織の酸素供給量の不足が生じる可能性がある。
貧血がある場合には、酸素供給量を増やすと共に、酸素消費量を減らすように工夫する必要がある。また、それでも循環が保てない場合には輸血を考慮する必要がある。

注意点

① 術中のヘモグロビン測定を考慮

貧血がある場合にはやはりヘモグロビン値が気になるところです。
出血量が微量であると考えられるのであれば静脈ライン1本でも問題ないでしょうが、ある程度出血のリスクが見込まれる場合には動脈ラインを確保して必要に応じて採血する必要があります。Aラインを確保するのかどうかは予想出血量と相談して決めることにしましょう。

② 貧血による虚血リスクを考慮する

一般に貧血を行う必要性が高いと考えられるのは以下の通りである。

・酸素運搬能力が低下しているもの:チアノーゼ性心疾患、肺障害、敗血症
・虚血による臓器障害の既往があるもの:虚血性心疾患、脳梗塞、腎前性障害
・その他の要因:高齢(上記二つが混合性に出現しやすい)

ただし、過剰な輸血によって死亡率が上昇するとのデータもあり、どのタイミングで輸血を行うのかは意見が分かれる。
虚血性心疾患があるなら心電図モニターのST変化を、腎障害があるなら尿量を確認するなど、異常がある部分のバイタルに関するモニターはしっかりと観察すること。
また、動脈ラインがある場合には乳酸をモニターする。上昇がみられる場合には組織の虚血が出現している可能性があるため、輸血を考慮する。

③ 酸素濃度を高める

貧血がある際には酸素運搬能に問題があることが多いため、吸入する酸素の濃度を上昇させると、安定することもある。
ただし、抜管して病棟管理をする場合には、十分なヘモグロビン値がなければならないため、輸血を考慮する。

④ 鎮痛、鎮静をしっかりとする。

交感神経が活性化すると酸素需要が高まり虚血を誘発する可能性がある。
ヘモグロビン値が低下している場合には特に鎮痛と鎮静をしっかりとし、酸素需要を減らすように努める必要がある。

  • 最終更新:2017-06-08 23:06:30

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