悪性症候群

※合併症麻酔に一歩深い知識を



診断基準

※Levensonの基準
大症状 発熱、筋強剛、CK上昇
小症状 頻脈、血圧異常、呼吸促迫、意識障害、発汗、WBC増加
※「大症状3項目を満たす」または「大症状のうち2項目と小症状4項目を満たす」

※Caroff and Mannの診断基準
1・発症7日以内(デポ剤ならば2~4週間)に抗精神病薬投与
2.38度以上の発熱
3.筋強剛
4.以下のうち5徴候
精神状態の変化、頻脈、高血圧あるいは低血圧、頻呼吸あるいは低酸素血症、発汗あるいは流涎、振戦、尿失禁、血清CKの上昇またはミオグロビン尿、白血球増多、代謝性アシドーシス
5.他の薬剤の影響、他の全身疾患や神経精神疾患の除外が可能
※以上のうち3項目を満たせば確定

概要

悪性高熱症と類似しているが、抗精神病薬や抗パーキンソン病薬で誘発される中枢性疾患であるという特徴がある。
悪性症候群と違い、麻酔薬によって直接誘発されるわけではないが、脱水やストレスなどで誘発されるため、手術時に発症する可能性もある。致死的になる場合もあるが悪性高熱ほど緊急性は高くない。

注意点

① リスクを確認しておく

以下の場合には常に悪性症候群のリスクを考える必要がある。
・ドパミンD2受容体遮断作用のある薬剤の内服(抗精神病薬の他、プリンペランなどの制吐薬も含む)
・鉱パーキンソン病薬の中断
・パーキンソン病治療用の抗コリン薬

② 診断

診断基準は上記したが、公的なものはない。
4徴としては高熱、筋強剛、自律神経症状(発汗、頻脈)、意識障害がある。

③ 治療法

以下の手順で治療してください。
※麻酔中で区別がつかない場合には、悪性高熱症の治療法に準じるようにしましょう。

① ダントロレン投与(初回量40mg静注。改善認められない時は20mgずつ追加。1日総投与量は200mgまで)
② 全身冷却(十分な輸液を行う)
③ DICがあればヘパリン(1万~1.5万単位を24時間で持続静注)、FOY(20~29mg/kgを24時間で持続静注)、血小板輸血(必要に応じて)の投与を行う
④ 急性腎不全があれば透析を行う。
※以下は覚醒してからできる対応
⑤ 原因薬物の中止
⑥ パーロデル15~22.5mg/day、分3で経口または経管投与。
⑦ 電気痙攣療法(抗精神病薬が使用できない場合)

  • 最終更新:2017-06-08 23:04:16

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